第20話 それやっちゃダメ!プロが教える対処法② 「天井裏の物音を見過ごしちゃダメ!アライグマは“ラスカル”のように可愛いものではない」

愛くるしい瞳でみつめるTVアニメ「世界名作劇場」の『あらいぐまラスカル』ですが──そのイメージを一旦外してお考えください。アライグマは特定外来生物であり害獣に指定されています。

害獣とはその名の通り、害をもたらす獣ということで、人間の生活環境と共存できない生物であるとされています。それは、糞尿による衛生面での被害はもちろん、人に危害を加える可能性や農作物を荒らすことなどが挙げられます。

また、家に住み着くことで家屋の破損や悪臭などの被害に見舞われることもあります。

そこで今回おしえてくれる先生は、ペストバスターズのゾノ隊員です。

 

アライグマなのか、何なのか・・・その発見方法とは

── ゾノ先生、アライグマに困っている人が最近多いと聞きました。

ゾノ 実はその通りなんですよ。何が影響しているのか、はっきりしたことはわかりませんが、今年は例年に比べて早い時期からアライグマの出現にお困りの方からの依頼が多いのは確かです。実際に昨年比2倍〜2.5倍くらいの件数になっています。
肌感覚ですが・・・子供を出産した時期が早かったのではないか、というのが我々の見解です。

── ご依頼者はどういう状態を発見して、ペストバスターズに依頼が来るのでしょうか。

ゾノ 9割型が「天井裏で足音がする」「天井裏で獣の鳴き声がする」「天井に茶色いシミができた」といった、天井裏の異常を感じているケースです。その他では、家庭菜園を含む食害に遭っているというケースもありますね。

── 天井裏で足音や鳴き声や・・・シミということは「おしっこ」ですよね。それは怖すぎます〜!
しかしそれが「アライグマ」と特定するには、どんなところを見ているんですか?

ゾノ もちろん一番は、罠を仕掛けてそれにかかった獣を見て決定できるものですが、我々は天井裏など住処にしているところを見させていただき、足跡の大きさや形、糞の大きさや形や量、それから断熱材などを見ていますね。

── ん??? 断熱材ですか?

ゾノ はい、断熱材ですよ(笑) 多くの家屋では、室内の保温のために断熱材が壁や床、天井などに貼られていますが、天井裏に棲み着く生物たちも暖を取るために断熱材の一部を剥がしてベッドを作るんです。

── お話の途中ですみません! アライグマが断熱材でベッドを作って寝ているところを想像したら、やっぱり「可愛い♡」と思ってしまいました!(笑)

ゾノ あはは、まあ〜可愛いかもしれませんが、やっぱり害獣ですのでね。
ちょっと話を先に進めますね。

── はい、すみません!

ゾノ その断熱材のベッドに寝ていると、獣の形にくぼみができていたりするんです。その形や大きさでもアライグマなのか、イタチなのか、といった種類を判断したりしていますよ。

 

アライグマは天井裏に家族で棲んでる?

── ゾノ先生、率直な疑問なんですけど・・・「今年はアライグマの出産時期が早かったのかも」ってさっきおっしゃっていましたよね? アライグマって、1回の出産でだいたい何匹生まれるんですか?

ゾノ 平均的に4〜5匹といわれていますね。

── やっぱりそうですよね・・・ということは出産した場合、大家族で天井裏に棲んでいるっていうことも?

ゾノ ええ、そういうケースもあります。以前私が確認した中で最も多かったのは6匹でした。赤ちゃんが4匹、大人が2匹ですね。

── 間違いなく「家族」ですよね・・・。依頼があったということは、そのアライグマ家族も捕獲して・・・その・・・駆除の方向で?

ゾノ そうなりますね、それが行政の指導ですから。愛玩動物とは違い、あくまで「害獣」ということで駆除の対象になるんですよ。

── 静かに山の中で暮らしていればいいものを・・・。とはいえ私たちの生活が脅かされるのであれば致し方ないことでもありますよね。

「もし私の家の屋根裏に何かの生き物がいるのでは?」と思い、ペストバスターズに連絡をしてから、どんな流れになるのか教えてもらえますか?

ゾノ はい、まずは「調査」のためにお宅に訪問します。確認できている異常を聞き取り、問題となっている屋根裏を見させてもらいます。そこでは先程お話したように、糞や使用状況などにより、ある程度そこにいる生物の予測を立てます。

その後クライアント様のご意向と相談し、捕獲をご希望されるのであればその場で罠を仕掛けることもありますし、後日の場合もあります。

初日のお伺いでかかる時間は、だいたい1時間〜1時間半ほどですね。

── 罠を仕掛けてからどのぐらいの期間を置いてチェックしに行くんですか?

ゾノ アライグマの場合、かなり警戒心が強いので、長いケースで1ヶ月間も捕獲できないことがありました。その点イタチは警戒心が低いので、翌日捕獲できることが多いです。

なので、だいたい1週間ぐらいしてから状況をチェックに伺います。

 

捕獲器を仕込むぐらいなら、自分でできるのでは?

── ゴキブリはもちろんですけど、ネズミが出た時も罠を仕掛けますよね。それってドラッグストアに売っていたりするので、ペストバスターズに依頼しなくてもできるように思います。
なので、アライグマなども、もしかしたら自分たちでできるんじゃないかと思うんですが・・・。

ゾノ 実はそれ、法律で決められているんですよ。アライグマをはじめ、イタチやテンなどの害獣は、狩猟免許を取得している者しか扱ってはいけない決まりになっているんです。「できそうだから」と勝手にやってしまうと罰せられてしまうんですよ。

── ええ〜〜〜〜!! そうなんですかー!
でもまあ、そんなに大きな動物を捕獲するなんて怖いですし、やっぱりペストバスターズにお願いするのがいちばんですね。

ゾノ ぜひお任せください! アライグマは人を見つけて襲ってくる、というほど凶暴ではありませんが、やはり興奮状態にある時は攻撃性も高まっていますし、確実に正常な状態に戻すにはプロに任せるのがいちばんですから。

── アライグマについて、よくわかりました。

天井裏など狭くて暗い場所で危険も伴うと思いますが、気をつけてがんばってください!

ゾノ ありがとうございます!

 

敵はいつまた、やってくるかわからない。
これからも見守りは続く。

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