獣対策のプロとして!
今日はどんな相手に遭遇するのか
前回は“不発”に終わった獣被害騒動。
もちろんそれは良いことであるのだが、
そうそう平穏な日々が長く続くとも思えない。
そう目論んでいたタカシ隊員は、
いつ緊急出動があってもいいように、
睡眠もたっぷりとり万全な体調で備えていた。
「今日も元気だ、タバコが旨い!
よし、はりきっていこう!」
と珍しく声に出し新人を鼓舞する。
が、(ちょっと古めかしい言い回しだったかな)
と内省する、おちゃめなタカシ隊員でもあった。
ペストバスターズのミッションはさまざまだが、
よく依頼を受けるのが「獣害被害」だ。
アライグマの依頼はトップクラスで、
それ以外には天井裏でのやんちゃ害獣・イタチも多い。
捕獲依頼があれば捕獲器を設置し、生活を脅かす獣を捕まえる。
それがミッションであり、大事な仕事であるが──
心優しいタカシ隊員は複雑な心境でもあるのだ。

はっきりいって「可愛い」。
タカシ隊員の心優しい一面も
ご依頼のあった悩める住人宅のチャイムを鳴らす。
すでに捕獲器を仕掛けているお宅だ。
ドアを開けるやいなや「捕まってるわよ」と言う住人。
早速確認に向かうと、そこには元気でやんちゃなイタチが、
小さな檻の中を忙しなく動き回っていた。
「おまえか〜、こちらのお宅で毎晩運動会をしていたのは!」
思わず小さな子どもに話しかけるような、優しい口調になる。
というのも、タカシ隊員は本音では動物が好きなのだ。
イタチが害獣でなければ可愛い生き物として尊重し、
その個体の幸せを願っていたであろう。
実際、つぶらな真っ黒な瞳は愛らしく、
獰猛さがなければ犬猫のように可愛がってもらえるはずだ。
が、実際の仕事は、その害獣を退治すること。
当然ご依頼主の側に立つことが自分の立場である。
「無事、確保できてよかったです。
これでもう安心できる日常が戻ってきますね」
そう言葉をかけたタカシ隊員に、依頼主も
「おかげさまで早い解決にいたり、
やっと安心して暮らせます。
本当にありがとうございました」
と、頭を下げられる。
こうした光景は、近年頻繁にあるということは、
動物たちが食べ物を求めて山から街にやってきているということ。
そのこと自体にも心を痛めるタカシ隊員なのであった。

一件落着後に襲ってくるのは……。
吐き気がするほどの「ニオイ」
「おまえ、もう二度と人間が暮らす街には降りてくるなよ」
檻の中にいる可愛い顔をしたイタチにそう声をかけ、
安全な山へ逃がすため山道をひた走る。
──が!!!!!
めでたしめでたし、という美談で終わらないのがこの仕事の辛さ。
「オエ、オエ〜〜〜〜〜ッ(涙目)」
ギャグ漫画さながら、嗚咽しながら運転するタカシ隊員。
臭い、臭すぎるのだ!
「おまえ、なんでそんな……
オエ、オエ〜〜〜〜〜ッ
どうしたらそんなに臭……
オエ、オエ〜〜〜〜〜ッ」
もう、まともに運転ができるニオイではないと悟ったタカシ隊員は、
一旦車を停め、シロアリ対策用の防毒マスクを顔にあてた。
「おまえの愛らしい顔があれば、
ペットにしたいランキングの上位になるはずだけどさ〜。
意識が飛びそうなほどのこのニオイ、
一緒に暮らすのは無理だぜ〜」
ペストバスターズには、そんな地味な苦労もあるのだった。

山に到着したタカシ隊員は、
捕獲器の再設置用にと用意していた唐揚げを差し出した。
「おお〜、腹が減ってたのか。
ゆっくり食べろ、まだあるぞ」
捕獲したイタチにごはんをあげ、檻の扉を開けた。
(元気でな)
依頼主の平穏な日々を守り、イタチの命を守ったタカシ隊員は、
満足気に車に乗り込んで帰路につくのであった。
「オエ、オエ〜〜〜〜〜ッ(涙目)」
「臭ぇ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ(涙目)」
敵はいつまた、やってくるかわからない。
これからも見守りは続く。