第30話 去年1年間で急激に増えた出動とは!?結果は、驚きのあの獣だった

定番のゴキブリ、ネズミは例年通り。
しかし急激に「緊急出動」が増えたのは…… 

今回はゾノ隊員にお越しいただき、害虫獣による被害の現場で起きていることを伺うことにした。

昨今、テレビのNEWSを賑わしている「クマ」による被害を真っ先に思い浮かべる方も多いことと思うが、近年は気温や自然環境の変化により生態系の在り方が変わってきていることが影響しているからだろう。

本来なら山の中で棲息するはずの獣たちが、人間が住む街なかに出没するケースが多くなり、我らがペストバスターズも“異例の忙しさ”を強いられているようだ。

 

── ゾノ隊員、おひさしぶりです。このコラムを始めて早2年が過ぎましたが、このところ、急激に増えた出動があると聞き、お話を伺いにやって参りました。
今日はどうぞよろしくお願いいたします。

ゾノ よろしくお願いいたします。
はい、おっしゃる通り、去年は驚きの獣に対する緊急発進が多く見受けられました。

── その獣、まさか話題の「クマ」ではないですよね?

ゾノ あの〜……、私どもは「クマ」は範疇外ですので。
万一、街なかでクマを見かけたら、警察か最寄りの市町村役場への通報をお願いします。

── 失礼いたしました、そうでした。
では改めまして……当てにいこうと思いましたが、正解を教えてください。

ゾノ アライグマです。

── なんとアライグマ!
というか、あっさりお答えになりましたね(笑)。どんな状況なんですか?

ゾノ アライグマは一般的に、4月頃に出産時期を迎え育児に入るタイミングとなります。なので、多くなる時期というのも通年を通して変わらずだったのですが、去年は年間を通してずっと多く発生していたんです。

── 1ヶ月の出動ではどのぐらいでしょうか?

ゾノ 通常なら1ヶ月に1〜2件の出動だったところに対し、去年はその5倍に近い5〜6件、多い時で10件近くになることもありました。

── 確かにそれは「異常事態」ですね!!!

 

なぜ爆発的に増えたのか──。
その理由は意外なところにあった 

── 1年間アライグマの対策をしてきて、なぜそのような現象が起こっているのかは分かっているのでしょうか。

ゾノ 正確なことは正直わかりません。自然現象である温暖化や、山に食糧がないなども原因のひとつにあるでしょう。

また、佐賀は田んぼや畑が多いことで、用水路も多い。その用水路を行き来することで、動物たちにとっても街なかに来やすい構造をしていることも理由のひとつだと思います。

── しかしそれは、今までだって起こり得たことですよね。「去年だけ急に」という理由にはならないように思うのですが。

ゾノ はい、その「去年だけ急に」に着目してみると、どうも街を挙げて保護猫活動を始めたようなんです。

── 保護猫活動とどんな関係が?

ゾノ これは憶測の域に過ぎないので何とも言い難いのですが……地域猫として家を持たない猫ちゃんに対し、餌をふるまっているようなんですね。

もちろん私自身、猫ちゃんは大好きなので、1匹でも多くの猫ちゃんが幸せになってほしいと願うひとりではあるんですが……一方で私の立場からすると、害獣被害が出ているとなると軽視できない状況ではあるなと思います。

── 何とも致し返し。猫ちゃんは救いたいが、アライグマはご勘弁というところですね。しかし猫ちゃんの餌を、アライグマも好んで食べるんでしょうか。

ゾノ アライグマは雑食ですので、なんでも食べます。日頃我々が捕獲にあたる際、捕獲器にオトリとし入れておく食べ物は、茄子などの野菜や、りんごやスイカといった果物ばかりじゃなく、みんなが大好きな甘〜いお菓子なども入れることがあります。

どれも好んで食べていますので、猫ちゃんの餌も喜んで食べていることと思いますよ。

── アライグマが悪さを悪さをしなければ、共存できたのに……。しかし、日々の活動の中で、そうした社会問題にも直面するということがわかりました。

だからこそ、ペストバスターズが必要
正義感は「こころ」の成長にもつながる

── アライグマというと、どうしても『あらいぐまラスカル』のイメージが強くて、愛くるしい瞳を持つ人懐っこい動物のように思ってしまうのですが、やはり「害獣」なんですよね……。

ゾノ はい、顔立ちは可愛いのでイラスト化しやすい動物かもしれませんが、実際の性格は凶暴性が高く、力が強いです。生ゴミなども食べてしまう雑食ですので、病原菌をもっており、人やペット、家畜などに健康被害をもたらすことが知られています。

また街なかで遭遇した場合、威嚇してきたり、時には噛まれたといった被害に遭う方も少なくありません。

── そうですか……残念です、あんなに可愛いのに。しかしあの可愛い顔をした動物を捕獲しなければいけない仕事、ゾノ隊員は正直なところどう思って業務にあたっていますか?

ゾノ もう何年もやってきているので、そのことについては特に何とも思わなくなりました。ただ大きな意味で「この自然界で私たち人間も生活させていただいていること」というものに感謝する気持ちも芽生えました。

── 何とも悟りの境地! とはいえ、そこまでいくには時間もかかることでしょうし、新しく入隊した人、入隊を希望する人には「嫌だな」「できるかな」と思ってしまうことが普通だと思います。

ゾノ おっしゃる通り、それが普通の思考回路ですよ。しかし、じゃあ「この業務を誰もやらない」となったら、私たち人間は平穏な生活、安心な飲食業務ができなくなることでしょう。

どうしたってやってくるゴキブリ、ネズミ、ハト。また、突如やってくる蜂や獣など、個人が自分で対処しようと思ったら無理だと思います。

我々は、そんな危険や嫌悪と隣合わせの仕事ですが、それもまた誇りに思いやっているんですよ!

── かっこいいです!!!
最近では「大型トラックの運転手」や「遺品整理人」など、ひと昔前までは男性しかできないだろうと思っていた仕事でも、SNSなどによって多くの女性の進出がしていることが伝えられています。

この仕事のやり甲斐やかっこよさ、みたいなところがちゃんと伝わると、もっと「隊員としてやっていきたい!」という人が増えるかも知れませんね!

ゾノ それは大歓迎です。それには我々が良い仕事をして、かっこいい背中を見せられないとですね!

── この話、わたし個人としても非常に興味があるので、折をみてまたお話させていただければと思います。今日はありがとうございました!

 

敵はいつまた、やってくるかわからない。
これからも見守りは続く。

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