第11話 秋の特別番組「大型商業施設に不法占拠する、害虫たちに独占インタビュー!!」

番組仕立てでお送りする、
害虫から見たペストバスターズとは

洋服に雑貨に、映画館にレストランなどが建物内にひしめき合う大型ショッピングモール。
休日なら家族みんなで一日中たのしめる、わくわくスポットだ。

今回紹介するコラムでは、特に飲食店やショッピングモールの従事者にご覧いただきたい。
また、利用されている“お客様”である皆さんは、そっと頁を閉じていただくか、
ご自分の家庭での対策の参考にしていただけたら幸いだ。

しかしそれでも手に負えないようなら……我らプロの集団、ペストバスターズにおまかせを。

 

男性司会者
「誰にとっても楽しい大型ショッピングモールですが、
実は閉店後、今度は害虫たちにとっての
パラダイスになっているようです」

女性アシスタント
「まずはVTRをご覧ください」

◯VTR
男性レポーター
「閉店後とあり、館内の照明は落とされて薄暗い状態になっています。
所々に非常灯や電気設備の灯りがぽつぽつと点っているだけです」

男性レポーターは、大型ショッピングモールの2階にある、フードコートへやってきた。
右に左にとチェーン店や専門店などが店を構え、先程まで営業をしていたため、
美味しそうな香りの余韻が漂っている。

男性レポーター
「ちょっとこちらの、
ホットスナックなどを提供するお店に入ってみましょう」

そのお店は、焼きそばやフライドポテト、唐揚げやフランクフルトなどを提供する。
男性レポーターは厨房の中に入ってみた。

男性レポーター
「ん!? なんか“カサカサ”という音がしますね。
どこだろう……
フライヤーの下辺りでしょうか、
また、“カサッ”という音が聞こえました」

音のする方へ近づいた男性リポーターは、フライヤーの下を覗き込んでみた。
すると人相の悪いゴキブリが、床に落ちていた唐揚げにしがみつき、しゃぶっているところだった。

男性レポーター
「ひぃぃぃぃ!」

恐怖の遭遇に、思わず声をあげる男性レポーター。
するとゴキブリはゆっくりとこちらを向いた。

男性レポーター
「お、お食事中すみません。
ちょっとお話を聞かせていただいてもよろしいでしょうか」

 

ゴキブリが語る、“食の天国”フードコート

恐る恐る、男性レポーターは、ゴキブリにインタビューを試みる。

男性レポーター
「チャバネ……ゴキブリさんでしょうか。
こちらでの生活は、もう長いんですか?」

ゴキブリA
「そうだよ」

男性レポーター
「どうしてこちらに住もうと思われたのですか?」

ゴキブリA
「どうしてって……ここはあったかいからね、
冬っていうの? それが来てもあったけえんだよ。
これ、冷蔵庫っていうんだろ?
冬でもこの裏んとこはあったかくて最高だね」

男性レポーター
「今お食事をされていたようですが、
こちらのお店がお気に入りなんでしょうか」

ゴキブリA
「俺は唐揚げに目がないからねぇ。
しかもここの店の人は、
いつも“賄い”を置いといてくれるんだよ。
この唐揚げもそうさ」

男性レポーター
「その “賄い”は、
いつも用意されているんですか?」

ゴキブリA
「そうね、たいがいあるね。
昨日はフライドポテトだったけど、
唐揚げン時はごちそうよ!」

男性リポーター
「お食事中、ありがとうございました。
さて、それでは別の店舗でも取材を続けたいと思います」

ホットスナックの店舗厨房を後にし、再びフードコート広場に出た男性リポーター。
続いて取材を試みた店舗は、ホットスナック店から2軒先のラーメン店。

男性リポーター
「続いてはこちら、ラーメンを提供する店舗の厨房に入ってみたいと思います。
おっと!!!」

厨房に足を一歩踏み入れた瞬間、男性リポーターは体制を崩し転倒しかけたのだ。

男性リポーター
「床が油でかなりヌルヌルとした状態です。
おそらくラーメンに使われる豚骨出汁や背脂のものと思われます。
これはちょっと歩くのに注意が必要ですね」

すると早速、アイランドカウンターの下で、チャーシューにしゃぶりつくごきぶりに出くわした。

男性レポーター
「こちらにもお食事中の方がいらっしゃいますね。
お話を伺ってみましょう。
こんばんは〜」

ゴキブリB
「なんだ」

男性レポーター
「今夜は何をお召し上がりでしょうか」

ゴキブリB
「見りゃわかるだろ、チャーシューだよ」

男性レポーター
「チャーシューが大好物でいらっしゃる、、、」

ゴキブリB
「一番は唐揚げだよ!(怒)
でも先を越されちゃったから。
要はあっちの店は“売り切れ”。
だからラーメン屋に来たんだよ」

男性レポーター  「ゴキブリさんたちの世界でも、
美味しいものを求めて“フードコートを回遊”
していらっしゃるんですね?」

ゴキブリB
「当たり前だろ、
俺たちだって旨い物のあるところに行くんだよ。
あ! 隠れろっ!」

その時、男性レポーターの背後を1匹のネズミが走り抜けた。
ゴキブリは、アイランドカウンターの4本の支柱のうちの1本に身を潜めた。

ゴキブリB
「気をつけな、ここにはネズミもいるんだよ。
あいつらは怖えぇからな。
あと怖いのは、ヤマ、だね」

男性レポーター
「ヤマ、ですか?」

ゴキブリB
「俺たちの敵、
ペストバスターズの隊員だ」

 

ヤマ隊員が実態を激白! 戦いに困っていること

男性司会者
「まさか、閉店後の大型ショッピングモールで
ゴキブリたちに“賄い”がふるまわれていたとは
まったく知りませんでしたね」

女性アシスタント
「ネズミもいたようでしたね。
そこで今回は、ペストバスターズの
ヤマ隊員にお越しいただきました、
どうぞお入りください!」

ヤマ隊員
「みなさんこんにちは、
ペストバスターズ隊員のヤマです」

男性司会者
「さっそくですがヤマ隊員。
こうした実態は日常的なのでしょうか」

ヤマ隊員
「はい、私達は毎月1回、
定期的にパトロールをしているのですが、
なかなか敵を倒しきれない現状に
頭を悩まされています」

男性司会者
「敵を倒しきれない、と言いますと?」

ヤマ隊員
「次から次へと引き寄せられるように、
外から大型ショッピング施設館内へと
入ってきてしまう現状があるからです。
たとえば、1階にスーパーを構えているところが多いのですが、
搬入口はスイングドアといって、
体重をかければ開閉するドアが多いので、
その隙に入ってくることもありますし、
かご台車にしがみついて一緒に入ってくることもあります」

男性司会者
「というと、侵入はなかなか防ぐことはできないが、
入ってしまったモノをしっかり退治していく、
ということでしょうか」

ヤマ隊員
「そういうことです。
我々にはさまざまな攻撃に必要な武器があります。
ネズミにはトラップを仕掛ける、
害虫には殺虫薬を仕掛ける、または噴霧してアタックする、
といったことで戦っています」

女性アシスタント
「しかしヤマ隊員が、
“困っていること”もあるんですよね?」

ヤマ隊員
「はい」

男性司会者
「それはどういったことなんでしょうか」

ヤマ隊員
「目視できる敵には、
『エアゾール』という攻撃法を用いたりするのですが、
厨房内にキャベツの千切りがラップをかけないまま置かれていたり、
寸胴に明日のスープが仕込んである状態だと、
食品に影響が出かねないので存分に戦うことができないんです。
それらを適所にしまっておいていただくことで、
我々も効果的な戦いができますので、ご協力をお願いしたいです」

女性アシスタント
「後半では、ヤマ隊員による、
敵を寄せ付けない“ある方法”を
解説していただきます」

 

すぐに実践できる、ヤツらを寄せ付けないポイント

男性司会者
「さて、ヤマ隊員、
どんなポイントをチェックすることで
不法占拠者を追い出すことができるのでしょうか」

ヤマ隊員
「まずは、厨房内に食品を残さないということが第一です。
フライヤーの下にフライドポテトや唐揚げといった、
落ちてしまった物はしっかり除去する。
第二に、油や調理中に飛び跳ねた汁など、
床などはデッキブラシを使って洗っていただきたいです。
それはどの店舗の方々も心がけていただきたいんです。
先程のVTRにもあったように、
1店舗だけが衛生管理を徹底しても、フードコートという性質上、
害虫たちが回遊してしまうことがある。
自分の店だけではなく、他店に迷惑をかけない意識といいますか、
フロア全体として捉えていただくことが最善かと思います」

女性アシスタント
「まずは、目に見える部分での清掃を徹底することから
はじめていただきたいですよね」

ヤマ隊員
「はい、それ以外にもチャバネゴキブリなどが好む場所は、
グリストラップ及び排水溝です。
排水溝は床下に設けられていて、
表面はグレーチングという、金属で作られた格子状の蓋があります。
こうした部分もしっかりデッキブラシをかけていただき、
衛生管理に努めていただけたらと思います」

女性アシスタント
「グリストラップや排水溝も、食物残渣物などが残ったままになっていると、
格好の餌場になってしまうようですね。
しかしこうしたポイントの清掃が行き届けば、
ゴキブリやネズミといった外敵が棲みにくい環境になるということ。
まずはできることからやっていきたいところですね」

 

ペストバスターズが口を揃えて「今年はイタチが多く捕まった」と言う。
イタチが多く出没しているということは、捕食の対象であるネズミが少なかったようだ。

ゴキブリもまた、6月までは目視件数が少なかったが、
7月の大雨や台風により川の水かさが増したことで、
陸上に上がってくる数が増えているようだとも推測。

気象条件や生態系の繁殖には逆らえないが、我々にできる対策もある。
まずは自分たちで日々の清掃を徹底し、その上でペストバスターズと共に駆除を行う。
こうしたことで、人間社会の衛生環境が保たれるのだ。

 

敵はいつまた、やってくるかわからない。
これからも見守りは続く。

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