建物管理で、命を救う現場に貢献 大病院を影で支える管理業務とは!?

ビル管理とは、ビルを快適に、安全に使用できる状態に保つため、日々設備や衛生面の管理を行う業務。毎日たくさんの人が利用する公共の場の平穏を守る仕事ですが、それが「病院」という建物となると、さらに特殊な知識や技術が求められます。今回は病床数1000を超える、福岡県有数の大型総合病院で、統括責任者として病院内の環境整備に取り組む伊藤さんの仕事にスポットを当て、その苦労や難しさ、やり甲斐を探りました。

入社以来11年かけて積み上げた自信

大学では電気工学を専攻していたという伊藤さん。「この仕事なら、大学で学んだことが活かせるという漠然とした思いはありましたが、正直なところ、就職当時はこの仕事で頑張っていこうという強いこだわりはありませんでした」と振り返ります。

入社後、ビルの貯水槽清掃、エアコンのフィルター清掃、消防設備点検など、ビル管理の一般的な定期作業の実務を経験した伊藤さんは、その後営業職を経験。さらには社内の一級建築士事務所で多くの施工管理、調査、電気工事を担当し、ビル管理やビルエンジニアリングに関する幅広い知識と経験を積み上げていきました。

「お客様からのご要望や部下からの質問に即座に反応できるのはプロとして重要なこと。入社してから一通りの業務を経験させてもらえたことが、今、統括責任者として働く私の自信や誇りにつながっていると思っています」と、入社から11年をかけてたどり着いた境地を語ってくれました。

病院という建物管理の特殊性

これまで多くの建物管理を経験してきた伊藤さん。大型総合病院という建物における業務の特殊性は、「守備範囲の広さ」にあると話します。

「病院という建物の管理では、例えば病室や手術室などに酸素を送り込む配管の整備、院内の温度・湿度環境を快適に保つための冷暖房設備調整、ボイラー設備の取り替え、さらには大雨、台風時のトラブル対応待機など、一般的なビル管理では求められない領域の特別な業務にまで手を伸ばさなければなりません。そこが難しさであり、やりがいを感じるところです」

特にコロナ禍が始まった3年前からは、院内クラスターを防ぐ必要性から、「陰圧室」「陽圧室」をつくる気圧の管理に関する要請が増えたといいます。

「感染の波が来始めると、陽圧室だったスペースを陰圧室に即座に変更しなければなりません。そのための設備の設置・調整、改装という作業をこなす。しかも短時間に、何箇所も。そして波が落ち着くと、それを撤去し元の環境に戻す作業に追われます。こんな業務が必要とされるのは、病院の建物管理ならではでしょうね」

伊藤さんは、この病院での特殊な管理業務を「年間管理レポート」としてまとめ、病院側の管理責任者に渡しています。「病院とは、設備の操作ミスはあってはならない施設。一方でヒューマンエラーを100%防ぐというのは難しいのも事実です。万が一設備の操作ミスが起こったとしても、それが事故につながることがないよう、万全の体制を保つ点検をする。これが私たちの使命だと考えています」と胸を張ります。

医療現場を影で支えるという使命感

最後に、病院での建物管理という業務の魅力について、伊藤さんに聞いてみました。

「病院での仕事では、設備担当者の方はもちろん、医師や看護師のみなさんからも難しいご要望が数多くもたらされます。それに対してチーム全体で知恵を絞り、提案にまとめ、結果としてそれが採用されて、役に立つことがまず嬉しい瞬間です。そして医療現場で働く方々に『使い勝手いいよ』『ありがとう』と喜んでもらえたら、最高の気分になります」

決して患者さんの前に出ることはない、裏方の役割ですが、伊藤さんたちの確かな技術や使命感がなければ、命を守る仕事は成り立ちません。病室や処置室、オペ室の快適性と安全性を支える、なくてはならない役割を担っているのです。

「チームとしては、院内を一年中快適に利用してもらうという、シンプルな目標を愚直に追い求めていきたい。個人としては『建物管理に関してわからないことがない』という人間になりたいと思っています。これまでもボイラー技師、冷凍機械責任者、電気工事士といった資格取得に挑戦してきましたが、今後も様々な資格や技術の獲得を続けていきたい。まあ一生勉強ですね」と、話してくれました。

 

PROFILE

エンジニアリング事業部
伊藤 悠一(2011年入社)
第三種電気主任技術者
第一種電気工事士
エネルギー管理士

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