(えぇ〜〜〜!!! この可愛さでママなのぉ!?)。これは筆者の心の声。打合せに現れた彼女は、サラサラの長い髪を後ろで一本に束ね、作業服に身を包んでいる質素な出で立ち。しかもマスクを付けた状態だというのに、席に着くやいなや破壊力抜群の笑顔で一気に楽し気なムードをさらっていった。訊けば30代半ばで、学校に通うお子さんがいるというママ歴。それなのに、この春からは「マネージャー」に昇進し、20名超をまとめる役職に就くという。なんか惹き込まれるぞ、荒牧さん!!! 目次“あの”工場長がいる職場なら納得実際どうなの? シングルマザーの労働環境資格の勉強もチームも、もっと頑張りたい! “あの”工場長がいる職場なら納得 荒牧真由美さん。彼女がここ、三洋ビル管理の自社リネン工場に就職したのは6年半前。小さな子どもを抱えながらの就職には、多少なり不安があったに違いない。しかも訊けばシングルマザーだという。「急に子供が熱を出した」「学校の行事がある」など、まだまだ子供に手がかかる時期。その二足のわらじを、どうやって切り盛りしているのだろう。 ──と、そこで思い出してほしいのが、ここの工場長・重松直人のことだ。“思い出してほしい”と書いたのは、このコラムでインタビュー記事が公開されているから。もちろんお読みいただいていることを前提に申し上げてみた。 重松工場長といえば“気遣いの人”。工場内の総勢130名のスタッフ一人ひとりに気を配り、誰一人として「出勤するのが嫌だ」と思うことがない職場の環境づくりを最優先にしている人物。 また、工場で洗濯をしても尚、家庭に帰って洗濯のお手伝いをする愛妻家で、どこへ行っても偉そうな素振りのない優男。とはいえこの人物こそが、うきは工場の立ち上げから、現在、工場長として采配を振るうに至る立役者なのだ。 筆者も話の感じから、さぞや働きやすい環境なんだろうと推察するが、実際のところはどうなのか、従業員である荒牧さんに単刀直入に訊いてみた。 実際どうなの? シングルマザーの労働環境 筆者と同性である荒牧さん。ここはひとつ、ホントのところはどうなのかという本音を聞き出すべく“女同士のぶっちゃけトーク”のノリであれこれ斬り込んでみた。 筆者(以下、筆):ここに就職する前は、どこかで働いていた? 荒牧(以下、荒):パートタイマーで働いていましたね、子供が小さいので時間の融通がきくと思ったんですよ。 筆:実際はどうだった? 就職してしまったけど、パートタイマーの方が子育てしやすかったとか? 荒:いや、逆ですね(笑)。パートタイマーでもシフトが組まれていますから、出勤日は限られた人員で仕事をするじゃないですか、だから一人欠けるとかちょっとね……。迷惑かかっちゃうなあ〜っていう申し訳なさとか気まずさはありましたよねぇ〜。 だから突発で休みにくかったんですよ。「また休み〜?」なんて思われていたかもしれませんし、正直なところ休みづらい雰囲気はありました。だったら、育児に理解のあるところに就職したほうがいいかな、と思ったんです。 筆:あぁ〜わかる気がします。自分も休みづらいけど、誰かが休んだ時にも「また休むの?」なんて思っちゃったりしてね(笑)。お互い様なのに、そういう空気って伝染しますよね〜。 荒:そうそう! うちの子はもっと小さい頃は体が強い方ではなかったんで、もう〜〜しょっちゅう風邪をひいたりしてましたからね! いくら自分にはやる気があって出勤したくても、子供が病気でダウンしていたら、ほったらかして一人寝かせておくわけにはいかないじゃないですか。場合によっては小児科に連れて行ったり、夜な夜な看病したりとかね。 筆:当然のことですけど、そういう時は「お母さん業」の方を優先しなくちゃいけないですからね。 荒:そうなんですよねぇ。 筆:ここの職場では、育児を優先できるサポート体制はある? 荒:あります! もう、本当にそこが一番ありがたいですよ。職場にはまだ手のかかる子を持つ女性が多いですし、「子供が熱を出したって学校から連絡が……」なんて言って早退することもあります。 筆:周りの負担が増えるのは確実なんで、本音では嫌だな、なんて思ったりしてるんじゃないですか?(笑) 荒:いえいえ〜(笑)! まっっっっったく(全く)思いませんよ〜! もう本当にお互い様なのでね、そうすることで私もみんなも「力を貸してほしい」と声を出しやすくなりますから。 筆:その互助・共助の社内環境ができたのって、“あの方”の影響って、やっぱりあります? 荒:あの方……(笑)、重松工場長ですね! もちろんです!大きいです! 重松さんは「いちばん大事なのは家族です。なので家族を最優先にしてください」ということを常々言ってくれるんですよ。本当にありがたいですよ〜。 筆:ええ〜人やなぁ〜重松〜(涙) 荒:ほんと、いい人なんですよぉ〜〜〜(涙) 資格の勉強もチームも、もっと頑張りたい! 屈託なく話してくれる荒牧さんとだと、思わず話が弾む。まるで居酒屋で一杯やりながら雑談しているようだ。しかし疑問がよぎるのは、「子育てが十分でき」「正社員として家計を守れる」今の環境で満足しているのなら、それでいいではないかということ。それなのに彼女は、「仕事にも精を出したい」という。何がそうさせたのか──。 筆:でもさ、でもさ。それに甘え過ぎることなく、荒牧さんマネージャーに昇進したんでしょ? すごい! おめでとうございます! 荒:(笑)、ありがとうございます! 筆:家族優先って言われている中だけど、仕事にもガッツを出せちゃうなんて、そんなやる気出る職場なの? 荒:そうなんですよ〜、やる気出ちゃって勉強をやりはじめて、クリーニング師の資格を受けてみたんです。でも落ちちゃいました。悔しいのでまたリベンジします!! 今までクリーニング屋さんで働いたことがなかったので知らなかったんですけど、シミ抜きひとつとっても奥が深くて知識がないとできないんですよね。 筆:たしかに……。シミ抜きってどの薬剤がどんな効果をもたらすかっていう「科学の世界」ですもんね。でも、それを勉強しないと仕事にならないポジションなの? 荒:いえ、仕事内容はいろいろですし、私のこれまでの仕事内容は、洗い上がったユニフォームを畳んだり、袋詰したり、それを結束したりという納品に向けたパートを担当していました。なので、シミ抜きの知識や技術がなくても自分の仕事をしっかりやることはできたんですけど、もっと仕事を覚えたいなって思ったんですよね。 筆:工場でやってる仕事を俯瞰して見れるようになったり、細かなところまで把握していきたいという? 荒:そういうことです、ここの仕事にもっと自信を持ちたいというか、自分のため、会社のために仕事したいなって思うようになったんですね。 筆:少し気持ちに余裕が出てきたからですかね? 荒:それはあると思います。こういう前向きな気持ちになったのは2年前ぐらいからだと思います。子供も順調に育ってくれていますし、それもこの環境のおかげだという感謝の思いも芽生えてきましたし、何より自分自身が向上したい!という思いが強くなりましたね。 筆:最高の精神状態で子育てや仕事に向き合っていますね! 春からはマネージャーになるということですけど、チームの2/3ほどが女性だそう。お子さんのことで突発などの休みがあっても「どうぞどうぞ!」って言える?(笑) 荒:もちろんです! 私も随分それで助けられたので、気持ちもわかりますし、そうでなければ小さな子どもを持つ女性が安心して働けませんからね。お互い様の精神で協力してやっていきたいと思います。 気がついたら、あっという間に取材時間が過ぎ、あっという間に原稿に文字が埋まってしまった。とにかく彼女は清々しく物腰も柔らかだが、存在感のある女性。この人物がチームを牽引していくことになるのは、そこに続く者にとっても幸運なのではないかと思う。 子供を持つ女性が働きやすい環境──それも、シングルマザーという負担も大きい立場の人でも安心して働けるということ。日本の社会問題に鑑みても、これを克服する社内制度・体制を実現する会社は増えてきているようだが、内実はどこかで「休みにくさ」を感じていることもあるようだ。 しかし、その一点の曇りもなく、休むことに後ろめたさや罪悪感を感じずに済むなら、その感謝の気持ちを仕事で返したいと思うのも人間の心情。その好循環が、あの笑顔につながっているのだと感じた。 彼女は明日もまた朝6時に起き、子供さんのために食事を作り、学校へ送り出すのだろう。そしてすぐさま自身の身支度を済ませて出勤する。それから夕方6時まで仕事をして買い物をして夕食をして寝かしつけてと、いっとき足りとも自分に使う時間はないはずだ。それでも「絶対クリーニング師の資格を取ります!」と意気込む彼女は、おそらく寝る時間を削って勉強することだろう。 しかしそんな寝不足になりながらの日々も生き甲斐であり、生き生きしている自分ということの実感でもあるのだろうと思った。改めて重松工場長は、素晴らしい職場環境を実現させたものだと感心させられる。 荒牧さん、楽しかったです。いつかまた熱いトークしましょう。今度は乾杯しながらね。 PROFILE エルスリネンサプライ事業部 荒牧真由美(2016年入社)
2023.9.12 リネンサプライ 1日約40トン、60,000点もの洗濯物と格闘!「何でも洗えます!」を目指す、リネンサプライ・クリーニング工場 #クリーニングの達人 #ホームクリーニング #リネンサプライ #産業用クリーニング