意外と知らない「リネン工場」での勤務!朝弱い人も、暑さに弱い人も、満足できる環境に

「リネン工場=クリーニング工場」
さあ、この職場にどんなイメージを抱くだろうか。

見たことがない私たちにとって、勝手に思い描くのは
◯スチームアイロンでずっとアイロンをかけている
◯蒸気を使う仕事なので夏場は暑さに耐えることも仕事
◯早朝の暗いうちから工場に入らなければならない
こんなところではないだろうか。

三洋ビル管理が所有する「エルスうきはリネン工場」(以下、うきは工場)に限っては、これに当てはまらないことばかりだ──。

さして“コミュ障”ではない筆者だが、労働はできれば人と接することなく黙々とやるほうが向いている。現状、パソコンに向かって黙々とやる業務はある意味で適職だ。同様に、接客など人と接するよりは、自分の作業を黙々とやっていくほうがやりやすいというタイプは、こうした工場での勤務もまた適職のひとつといえよう。

が、労働環境や労働時間にストレスを感じる場合もあるかもしれない。

今回のコラムでは、そんなイメージをすべて覆す内容を記載していく。働く場所のひとつに「これなら私でも!」と思えるのではないかと思うし、なんなら筆者も、このうきは工場で採用してほしいぐらいだと感じているぐらいだ。

 

Web上「エルスうきはリネン工場見学」。
どんな仕事をしているのか、見てみよう

まず、うきは工場にはどんな職種があるのかを紹介する。

主なものは
①洗濯業務
②衣類タタミ・アイロンがけなどの仕上げ業務
③タオルたたみ業務
④シーツ仕上げ業務
⑤商品出荷・配送車両積込み業務

となっている。昇格するにつれ「リーダー」「マネージャー」などの役職があるが、今回はこの業務内容は折りに触れ記載していきたいと思う。

さて、「ようこそ!『エルスうきはリネン工場』へ」ということで、疑似体験してみよう。

【社員/1日の主なスケジュール】
8:45  出勤
9:00  朝礼、ミーティング
午前中 衣類洗濯、衣類やタオルのタタミ作業、シーツの仕上げ作業

シーツ投入作業
タオル作業風景
衣類タタミ作業

12:00 昼食・休憩

午後 入荷したクリーニング品の検品、仕上げ商品の顧客別仕分け
納品前準備作業
17:30 終了ミーティング、片付け
18:00 勤務終了、帰宅

【洗濯作業スタッフ/1日の主なスケジュール】
6:00  始業開始
・洗濯機や乾燥機の立ち上げ作業
・当日仕上げする商品の洗濯作業
・洗濯時間は約1時間の間、洗濯機への出し入れ
・空き時間は次の確認、台車等の整理、洗剤補充など

洗濯作業
洗濯作業
洗濯作業

9:00  朝礼、ミーティング
・洗濯終わりの商品を乾燥機へ入れる作業

10:00 昼食・休憩

11:00 進捗確認と翌日の作業工程の打合せ

午後  入荷した洗濯物の検品や伝票チェック

検品作業
検品作業
検品作業

15:00 勤務終了、帰宅

ここでひとつ注意事項がある。上記のスケジュールは、基本的な1日の主なスケジュールであり、“そうではない方”もいる。それは「朝早く起きることが苦手なんです〜」という方には「夜シフト」が用意されているのだ!

 

週休3日制の導入に続き、
「朝シフト」「夜シフト」が選択可

現代の働き方改革はここまできたのか──そんな驚きを隠せない革命的な判断だと感心したのだが、「朝が弱いです」と声を大にして言っても採用されるとはありがたいではないか。

うきは工場では2024年10月から「夜シフト」を導入し、取材時(12月)の段階で2名が採用に至っているという。

そのお二方がどんな事情で夜シフトに応募をしてきたのかを、うきは工場の事業部長・江口慧輔さんに話を伺った。

── 率直にお聞きしたいのですが、夜に働きたいと言う方の事情とはなんだったのでしょうか?

江口 はい、採用者2名はいずれも20代の男性なんですが、お一人は親御さんの介護をされていて、日中は通院の付き添いがあったり、リハビリの送迎といったサポートをしていきたいということでした。

もうお一人は、単純に朝が弱く、早い出勤がしんどいということでした。

── まず、介護をされていらっしゃるという方ですが、なるほど、そうした理由もあるんだなと思わされました。現代の高齢化社会において、今後ますますそうした事態で日中の労働が難しいという方も増えそうですよね。

しかし、もうお一人の「朝が弱い」は笑ってしまいました! それって、みんな思っていることだと思いますが、言っちゃっていいやつだったんだあ〜って! かくいう私も朝早い仕事じゃないほうがありがたいと常々思っていましたから!

江口 私も、そうした要望があることに気づいたのは最近なんですが、どんな理由にせよ、採用したこの2名は非常に真面目で一生懸命なんですよ。なのでこの夜シフトを導入してよかったなと本当に思います。

── それは素晴らしい試みと結果に至りましたね! お二人は正社員登用なんですか?

江口 現状はパートタイマー契約となっています。もちろん正社員の打診もしましたが、お二人共まだスタートしたばかりで、特に介護をされている方などは、正社員になることで勤務時間が少し長くなるため、迷惑をかけずに働けるのかもう少し様子をみたいということでした。

いずれにしてもお二人から、今後は社員登用になりたいという意向を承っていますので、時期を見てということになると思います。

── パートタイマーと社員では、どんな勤務時間になるのですか?

江口 まず労働時間ですが、パートタイマー契約では6時間45分、社員は8時間となります。よって、社員になることで出勤時間が約1時間半ぐらい早くなるということです。

── 夜シフトの業務内容はどんなものがありますか?

江口 うきは工場は、トラックへ翌日納品する商品を積込みする業務まで含めると22時頃まで稼働しているんですよ。なので夕方からの勤務でもお願いしたい仕事というのはあるんです。新しく導入したお二人には、主に(出荷するクリーニング品の準備作業、納品伝票作成作業、配送車両への積込み作業)といったことに従事していただいています。

筆者も20代の若かりし頃、前の晩の飲み会が楽しすぎて翌朝寝坊し、出勤時間に間に合わず叱られた経験が何度もある。それなら最初から「私はお酒が好きなので朝起きられません! でも仕事は一生懸命にやりますので、お昼すぎから出社したいです」と言える時代に就職したかったものである。

うきは工場は今年に入り、週休3日制を導入したり、夜シフトを導入したりと、個々のライフスタイルを尊重した雇用形態を実施しているのは何とも先進的である。

 

「まるで、お金をもらえるスポーツジム!
筋肉がついたし、ビールが美味しい!」

先述の通り、うきは工場での主な仕事は「洗濯」であるため、1回の洗濯で400g程の衣類を200枚入れて洗います。1袋に30枚(12キ程度)入った専用袋を1回の洗濯で6袋を洗濯機へ入れます。この作業を洗濯が終わる都度行い、多い日は20回にもなります。洗濯作業以外にも仕上がった洗濯物を配送用に移動させたり、トラックに積み込んだりなど、重たい物を持つことが多い。

とはいえ、うきは工場には女性社員が多いのだが、その肉体労働をどう思っているのかと聞くと「慣れですよ、慣れ!」と笑いながら答えてくださる。

先の江口さんも「最初はクリーニング屋さんのイメージで、ずっと立った状態でアイロン掛けをしているんじゃないかと思っている方も多いようですね。でも実際は割と動き回ることも多いんです」と言い、「思っていたより体を動かす時間も多いし、重たい物を持つことで『スポーツジムに通っているような爽快感がある』と仰る方もいますし、『時間が経つのが早い』『以前は飲まなかったのに、1日の終りのビールが楽しみになった』など、人それぞれの満足を見いだせていると感じます」と語る。

たしかに、考えようによっては、「ウォーキング」「スクワット」「荷重筋トレ」になっているのかもしれない(笑)。十分体を動かした労働後のビールは、さぞ美味しかろうと思う(筆者は椅子に座っていることが多い業務だがビールは毎晩美味しい)。

 

こうしてうきは工場を一緒に見てきたところだが、日々の労働内容が明確で、勤務シフトも選択できることがわかった。さらに「週休3日制」や、「夏場でも涼しい環境」さらには「風通しの良い職場環境」といいことづくめのように思う。

褒め過ぎかも知れない。が、批判する部分も見当たらない。

過去のコラムにも筆者の取材内容が上がっているのだが、重松直人工場長の人柄を頼りに就職希望者が増えているということも耳にした。現代の就労環境のモデルケースといえるのではないかと感じる。

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