「ビル管理業界ライターは、見た!」シリーズ① AIを搭載した清掃用ロボットをいち早く導入したぞ!

「ビル管理業界ライター」が脱帽した、激スゴ清掃

今回からこのコーナーを担当することになりました、ビル管理業界ウォッチャーのライターです。九州ではトップクラスのシェアを誇る三洋ビル管理ですが、より高水準の管理業務&清掃業務を目指す舞台裏には、社員が一丸となっている熱い姿勢が私は好きです! そんな三洋ビル管理が、大枚をはたいてまで「やりたかった清掃」のひとつ、AI搭載の清掃用ロボット(以下、AI清掃ロボ)を導入した話をします。

 

全軍躍動の盤石な布陣なのに!? さらに勝負に出る意気込み

三洋ビル管理の「いいところ」「すごいところ」って、社員からパートの皆さんまでが同じ気持ちで仕事をしていることに尽きると思うのですよね。「いや、そんな会社なんていくらでもあるでしょう」という声もありそうなので、じゃあ言い換えましょう「この会社も、」ですね。

褒め言葉ではないかもしれませんが、私としては最高の褒め言葉として、社員全員が「どろ臭い」んです(笑)。人力のどろ臭さ、熱さがこの会社の原動力であり魅力であり、売りのひとつであると私は思っていますし、世間から高く評価され続けてきたところでもあります。

しかしそこに満足せず、胡座をかいていないところに、私は感動しました。「こんなにいい人材を揃えておきながら、さらにAI清掃ロボを買おうとするほど、もっと高い品質を考えていたのか」と。

にわか知識で申し訳ないのですが、将棋でいえば飛車角を落とさず全軍躍動で、盤石な将棋をさしているにも関わらず、そこにAIを導入して勝率を上げにいったという思いです。

だいたい、そのAI清掃ロボとは、まだビルやマンション管理業界の主流とはいえません。その理由として、①購入価格、ランニングコストの採算が合わない ②それを活用できる適所がない ③購入し維持するほど会社に体力がない のいずれかでしょう。

ということで、そのAI清掃ロボを導入した、経緯と活用内容を訊いてみたいと思います。

 

AIちゃんにも弱点あり! 人材もAIも適材適所がある

まどろっこしい話は省いて結論からいうと、このAI清掃ロボは約3年前に導入。市場に出始まわってすぐに購入したことになります。その思惑は、人手不足の事態に陥った時でも安定した清掃サービスを提供し続けられることと、人力では敵わない清掃品質への期待からだったといいます。

具体的には、清掃面積が広すぎる多目的ホールで使用することをイメージ。イベントとイベントの合間にAI清掃ロボを使って清掃作業をしようと考えていました。

実際、多目的ホールに配備させました。しかしそこで見えてきたのは、ある「弱点」でした。

その弱点をひと言でいうと「こないだ覚えたルートと違う」、というAIちゃんの未熟さにあるようです。当然よく働くのです。が、「知らないものは知らない=対応できない」という、機械ならでは(!?)の忖度のなさと融通の利かなさに、人間は困惑することになるようです。

AI清掃ロボを配備させた多目的ホールは、コンサートホール・コンベンションホールとして使用されるため、イベントによって配置が変わるのは当然です。よって、その都度AI清掃ロボに通って良いルートを覚えさせることになりますが、それはそれで大変な作業になるとのこと。

イベントとイベントの合間の物が何もない空間で稼働させようと考えたのですが、過密スケジュールの多目的ホールにはそのタイミングがなかなか訪れない。

「では──」ということで、AI清掃ロボを博物館に配備させました。この転換が的中。博物館のエントランスホールを、週に1〜2回のペースで元気に清掃作業を行っているのです!

 

賢い相棒は、高クオリティ・スピード感・広面積を実現する

「♪るんるんるんるん〜」──そんなAIちゃんの鼻歌が聞こえてきそうなほど、時速6kmほどの軽快なスピードで、両掌のように見える「ポリッシャー」をプロペラのような速さで回転させて進むAI清掃ロボ。

博物館前は石床なので、でこぼこした隙間に汚れが付着しがちですが、この高速回転ポリッシャーにかかれば格段に美観が上がります!

博物館の清掃責任者・尾崎宏一さんも「自分たちの清掃にもかなり自信を持っていたんですけどねぇ〜、この高速回転には敵いませんよね〜(笑)」と喜びながら悔しがっていました!

AI清掃ロボの使い方には「自動エリア」と「手動エリア」が選択できるとのことですが、当然ながら自動でやってくれる範囲が多ければ多いほどありがたいというもの。これには「人が乗ってルートを覚えさせる必要があるんですよ」(前出・尾崎さん)と言い、その「ルート作り」が人間の賢さの見せ所だとも。

「最初は欲張って、全部のルートを覚えさせてやれ!なんて思いましたけどね(笑)、博物館でも都度イベントがあり、イベントごとに配置が変わるんです。つまりせっかく覚えさせたルートが台無しになってしまう。だったら、配置が絶対に変わらない場所だけルートを覚えさせるところを自動エリアに、配置が変わる場所は手動エリアにしようと、こちらが学びました」(前出・尾崎さん)

人馬一体という言葉がありますが、AI相手にも特性を理解してやることで理想的な動きが可能になるようです。

今ではAI清掃ロボが“一人”で、♪るんるんるんるん〜と清掃をしてくれている1.5時間ほどの間、尾崎さんは溜まっている事務作業の時間にあてることができるなど、ナイスコンビネーションで活動ができているということでした!

AI清掃ロボの購入費は安くはなかったようですが、こうして1〜2人分の作業をやってくれるのであれば御の字といえるのではないでしょうか。

何より、「建物清掃の一流」を目指し続ける三洋ビル管理は勢いがあって面白い会社です。せっかくこのコラムを担当することになったので、素晴らしい動きがあったらまたお伝えしますね!

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