国際協力の一貫として1993年に制度化された「外国人技能実習制度」。 しかしこれに対し間違った思い込みをしがちなのが、「日本の人手不足を発展途上国の人で賄う」ということ。本来の意図を平たい言葉で解説するならば「日本で培った技能・技術・知識を自国に持ち帰り、その国の経済発展を担うことに寄与する」ということ。 さらに2019年に運用がスタートした「特定技能制度」は、企業の労働力確保を目的としているため人数制限なく採用をすることが可能。 いずれの制度も雇う側には、それなりの受け皿と正しい雇用知識、そして成長を促す体制が必須となる。 その視点から、三洋ビル管理で受け入れている技能実習生との関わりを見ていきたい。今回お話いただいたのは、責任者の八江友和さんと、現場で指揮をとる西中勇人さん。 目次技能実習生は2016年から受け入れ開始。 最近の人は「マインドも仕上がっている」とは!?三洋ビル管理ならではの手厚さ。 社員寮はひとりの空間を提供現場を取り仕切る西中さんの感想は!? 八江さんが「父」なら自分は「兄貴」として 技能実習生は2016年から受け入れ開始。 最近の人は「マインドも仕上がっている」とは!? ── 三洋ビル管理では、2016年にベトナムからの技能実習生を受け入れてから、2024年現在まで毎年、8年間に亘り受け入れを行ってきました。現状何名が働いていますか? 八江 国籍として現在はフィリピンとインドネシアからの受入れが中心となっております。人数ですが今月(取材時)時点では60名ですが、今後13名の配属が予定されており来年1月には73名となります。またリネン事業でも現在19名が働いていますので、会社全体では92名となる見込みです。 ── 受け入れ当初と現在を比べて何か変化はありますか? 八江 はい、ひと言でいえば「マインドも仕上がっている」と思います。それはどういうことかというと、彼ら彼女らは日本に来る前の3ヶ月間ほどの期間を使って、母国で日本語を学んで来るんですね。 最初の頃は決められた日本語教育を普通に学んできた人たちを受け入れていたのですが、最近では「あるリクエスト」を出しているのです。 ── それはどんなことでしょう。 八江 ただ日本語を学ぶだけでなく、日本で仕事をする意識や、社会生活を送るためのマナーも教えてから送り出してほしいということです。そういう意味で「マインドが仕上がっている」と感じることが増えましたね。 とはいえ、わずか3ヶ月間学んだだけですぐに働けるわけではなく、来日してから1ヶ月間さらに日本語学校で教育を受け、同時に学校に併設された寮で共同生活のルールも学んでもらいます。 三洋ビル管理では──主に私が行っていますが、その日本語学校に在学中2回ほど訪問しているんです。1回目の訪問で私は3つのお話をしています。それは ①「ルールをまもること」 →お互いが安全で気持ちよく仕事・生活ができるために、職場や寮にはルールがある。日本は特に厳しく設定しているところがあるので必ず守ってほしい。 ②「日本語の勉強」 →学校での勉強が終わったとしても、日本語の勉強は継続して行ってほしい。できるだけ多くの日本語を覚えて仕事の幅を広げてほしい。 ③「自立した人になる」 →役所や買物にひとりでは行けない、組合ばかり頼っているのでは、日本で生活しているとはいえない。公共交通機関を使って一人で移動をしたり、商店街などで店主と会話をしながら買物をするなど積極的になってほしい。 ということです。 ── まさに「マインド」の部分に訴えかける内容ですね。2回目に訪問する時は、どんなお話をされるのでしょうか。 八江 2回目の訪問は配属の1週間前となりますが、一度目に訪問したときからの日本語やコミュニケーション、マインドの成長を確認しております。また仕事に関する具体的な説明も行い、配属してからすぐに仕事に向き合う姿勢になるよう意識付けも行います。 三洋ビル管理ならではの手厚さ。 社員寮はひとりの空間を提供 ── そのリクエストにより、高い意識をもって入社してくれることがわかりました。しかしリクエストだけではなく、こちら側も配慮している体制などはありますか? 八江 社員寮の配備には自信がありますね!おそらくですけれど、同業他社などに比べると手厚いのではないかなと自負しています。 企業に配属された先でも共同生活を送っている事例が多い中、弊社では一人ひとりの住居・パーソナル空間を提供しています。もちろん、ここには物件を探す苦労や資金もかかりますけれど、目標とするのはパフォーマンスの向上。 仕事を終えて自分の時間を持ち、勉強ができる環境や疲労が癒せることに重きをおいています。 ── それは素晴らしいですが、企業によってはなかなかできないことかと思います。もう少し、三洋ビル管理の待遇面のお話をお訊かせください。 八江 そうですね、賃金に関しても少し改定しています。今までは在留資格が同じ人には一律の賃金を支払っていましたが、個々の成長などをきちんと評価して賃金に反映していくということですね。 ── それは、「技能のレベルに合わせて」ということですよね? 西中 はい、同じ部署内での仕事であれば、日本語の理解や仕事の習熟といった成長がわかりますが、会社の業務では部署が違う人と連携していくことが多いので、その方の性格や習熟度などを予め把握して仕事を円滑にできるようにしています。 ── 「技能」や「日本語レベル」は、上司の方が判断しているのですか? 八江 はい、技能や日本語レベルが高い外国人は私と担当マネジャーにて選抜し、現場責任者相当の業務ができる「特定技能2号」の取得を目指す教育を10月よりスタートしていきます。また技能実習生に対しても、資格更新時に必要な教育も実施しています。 ── 技能実習生に関して、具体的にはどのような教育をされているのでしょう。 八江 技能実習生の試験は実技試験と日本語試験があります。実技の教育としては当社のトレーニングセンターにてマネジャーがマンツーマンで指導します。マンツーマンでやることで丁寧な確認ができますし、その人のできていないところを知り、やり方の癖などを発見することができます。 日本語の教育としては、ビルクリーニングに必要な用語をまとめたオリジナルの単語集を作成したり、文法を正しく理解するための記述式問題を作成して、本人の能力に合わせた教育をしています。 ── その結果、成果はありましたか? 八江 はい!この間試験があったのですが、「不安だ」と口にしていた人も多かったにも関わらず、「対策していたことがバッチリできました!」と嬉しそうに答えていました。 教えた側もやりがいを感じる瞬間ですよね! 現場を取り仕切る西中さんの感想は!? 八江さんが「父」なら自分は「兄貴」として ── まずは概要と現状を八江さんにお話いただきましたが、現場で見守る西中さんはどう感じていますか? 西中 外国人の方を受け入れる以前は、清掃業界は高齢の方に頑張っていただいているのが現状でした。平均年齢でいったら60代だと思います。 しかし技能実習生を受け入れたことで当然平均年齢が格段に若くなりますし、日本語を習得してくれれば若さも相まって作業がよりスピーディになります。 良いことはそれだけではなく、これまで支えてきてくださった高齢層の清掃スタッフも「自分たちも頑張らなくちゃ」という相乗効果を生み出しているように感じますね。 ── それは予想外の副産物で、現場の品質向上や作業スピードにつながっているということですね。 西中 本当にそう思います。これまで6人体制だった現場を4人で回せるようになるなどはわかりやすい例です。 とはいえ、作業効率を上げたい物件とそうではない物件と、特性はあるんです。 「とにかく早く作業を終えたい」という現場には、若くて体力のあるスタッフを配置しますが、「スピードより丁寧で細かな作業が必要」という現場には、熟練のスタッフを配置します。その隙間を社員である日本人スタッフがサポートするという形で、盤石な体制をとっていますね。 ── まさに「抜かりなし」というところだと思いますが、現場となるオーナー様(お客様)の反応はいかがでしょうか。 西中 正直なところ、まだ現場によっては「外国人に任せて大丈夫?」と不安に思われる方も少なからずいらっしゃいます。その不安を具体的にヒアリングしてみると、リハビリ施設などは、「患者さんの質問などを理解できないのではないか、また答えられないのではないか」ということがあるようです。 その辺は私たちの課題ですし、それを払拭していかなければいけないと思っています。 若い外国人スタッフに、時に優しく時に厳しくと父のように寄り添う八江さんと、現場では叱咤激励しながら自身の働く背中を見せる兄貴のような西中さん。 今後も積極的に受け入れを行うことで、外国人スタッフが就労する環境が“当たり前”になりつつある現代、私たち日本人と同じような尊重はもとより、日本語や技能の習得による仕事へのメリットは多大にある。 多様性の時代であることにも柔軟でありつつ、日本人と外国人スタッフ、国籍が異なる外国人スタッフ同士が、お互いを支え合うことができればさらに良い成果を生み出すことに期待できる。 まずはスタートしたばかりだという、レベルアップのための社内制度をうまく機能させ、優秀な人材の育成工場として世の中を牽引してもらいたいと思う。
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